初期臨床研修について

小児科 研修プログラム概要

理念・特徴

小児科では、小児保健と小児医療に関する諸種の問題について、対応と処置の基本を学ぶことを目標としている。基本コースでは小児科の必修期間は1ヵ月で、小児科コースでは1年目3ヵ月と2年目2ヵ月である。2年目の選択研修でさらに小児科の研修をとることが可能である。

1.一般目標(一般学習目標)

小児科専門医の役割(日本小児科学会)に準拠する。

(1)子どもの総合診療

子どもの身体と心の全体像を把握し、「疾患をみるだけではなく、患者とその家族さらには社会環境をみる」全人的な医療を実践できる。

(2)成育医療

子どもの誕生から、成長し次世代の子どもを持つまでをひとつのlife cycleと捉え、成育医療を実践できる。

(3)小児救急医療

軽症から重症までのすべての病児を診て、重症度に従って適切に対応できる。

(4)地域医療と社会資源の活用

小児保健医療に関する地域計画に積極的に参加し、他の医療技術者を教育できる。
医療法、児童福祉法、母子保健法、その他医療保険、公費負担制度を理解し活用できる。地域医師会、保健所、児童相談所、学校などと協力して、患児が日常生活を享受できるように指導できる。

(5)患者・家族との信頼関係

患児・家族との好ましい信頼関係。
永続的障害や慢性疾患を有する患児に真摯な態度で接し、家族を含めた心理的援助を行うことができる。

(6)プライマリ・ケアと育児支援

プライマリ・ケアを実践し、育児支援と育児不安の解決を図る。

(7)健康支援と予防医療

乳幼児の成長発達を評価し、小児疾患の予防に関わる医学知識と技術をもとに健康支援を実践できる。

(8)アドヴォカシー

子どもと家族の権利の代弁者(アドヴォケート)として、問題の解決に当たることができる。

(9)高次医療と病態研究

高次医療と病態研究の現場に参加してその実際を経験する。

(10)国際的視野

国際的視野で小児の健康を考えることが出来る。

(11)協働医療

(12)省察と研鑽

責任あるプロの自覚を持ち、己の限界を謙虚に知り、常に自己研鑽に努め、同僚・他人からの評価を受け入れる。常に自省しながら向上をめざす。

(13)医の倫理

患児の人格と人権を尊重し、プライバシーを守ることができる。生命の尊厳を大切にし、多様な意見に耳を傾けることができる。

(14)医療安全

薬剤の確認、コメディカルとの意志疎通、院内感染の抑制など、医療の安全性の確保に配慮できる。

(15)医療経済

医療行為のcost-effectivenessを理解する。

2.個別目標(行動目標)

以下の基本的手技を確実に習得する。
(1)身体計測
(2)バイタルサイン
(3)ベッドサイド迅速検査
(4)静脈注射(含む管注)
(5)各種培養・スワブの選び方・保存方法
(6)消毒方法
(7)吸入療法
(8)酸素療法

3.研修方略(指導体制)

原則として研修医1人に1人の小児科専門医の資格を持つ指導医がつく。各指導医が診療の手技から治療方針まで細かく指導する。

4.評価方法

臨床研修開始時に『自己評価シート』を研修医に渡し、 随時、研修内容の確認と自己評価を行ってもらう。また、適時指導医による研修の評価(知識・技能の修得、診療態度など)も加え、研修の進展度を評価する。

5.週間スケジュール

(1)回診

部長(教授)回診:毎週木曜日午前
病棟医長回診:随時

(2)総合カンファレンス

毎週水曜日午後2時30分より
(抄読会・症例検討・総説・レントゲンカンファレンス・院外講師講演会・学会予行・研修医発表など)

(3)輪読会(英文の教科書)

毎週水曜日午前8時30分より

(4)診療グループカンファレンス

毎週水曜日午後12時より(その他随時。)

(5)二木会地域実地医家医師を交えた勉強会

年に5回(1・3・6・9・11月)

(6)心理カンファレンス

第4月曜日午後5時30分より毎月1回

(7)研修医発表

受け持った症例について、学会発表に準じた形式で口演を行う。(総合カンファレンス内)