初期臨床研修について

脳神経外科 研修プログラム概要

理念・特徴

脳神経外科では、初期研修の最大の目標に、「脳の構造と機能を知る」ことを挙げています。神経診断学については、病歴から疾患を疑い、神経学から高位診断を行うのが正攻法ですが、すぐにCTなど画像診断を行う現代では、画像を正確に診断できることが重要となっています。当科初期研修では、教育用にストックされた頭部CTから数枚選んで週に4日読影を行い、朝発表します。その際、指導医から読影所見、画像診断のチェックを受けるとともに、画像から考えられる患者さんの状態、病歴、症状、治療方法などの質問を受けます。当科で研修すれば、自信をもってCTを読影できるようになり、「脳の構造と機能を知る」ことができるようになります。それとともに、重要な脳神経外科疾患:主に脳卒中・頭部外傷・脳腫瘍などを理解することができます。一方、当科の入院患者さんは、定期手術患者さんと緊急入院患者さんにバランスよく分かれています。定期手術患者さんを受け持ち、病歴・神経学的所見をとって、手術に入り、指導医とともに周術期管理を行います。脳卒中・頭部外傷などの緊急入院患者さんについては、実際の診断・治療・管理にチームの一員として加わります。

1.一般目標(一般学習目標)

(1)脳の構造と機能を知る。

1)CT上の脳の構造物の名称を説明できる。
2)CT上の脳の構造物の機能を説明できる。
3)CTから患者の経過を理解できる。

(2)神経学を理解する。

(3)神経学的徴候を理解する。

1)意識障害
2)運動麻痺
3)知覚障害
4)脳神経症状
5)頭痛
6)めまい
7)けいれん発作

(4)脳血管の走行と支配領域を理解する。

(5)疾患を理解する。

1)脳卒中
2)頭部外傷
3)その他

2.個別目標(行動目標)

(1)CTの読影ができる。

1)CT読影所見
2)CT診断

(2)神経学的所見がとれる。

1)意識障害患者
2)高位診断

(3)病歴をとることができる。

1)患者からの訴えを聞き出す。
2)家族からの病歴をとる。

(4)脳神経学的検査・処置

1)腰椎穿刺
2)脳血管撮影助手

(5)脳神経外科手術

1)手洗い・ガウンテクニック・助手ができる。
2) 糸結び・頭皮の縫合ができる。
3)マイクロサージェリー練習(医局顕微鏡)

(6)プレゼンテーション

1)患者さんの病歴・経過・治療を簡潔に説明できる。
2)パワーポイントを用いて発表できる。

3.研修方略(指導体制)

(1)研修医CT読影会(週4日)

(2)定期手術・緊急入院患者受け持ち

1)病歴・神経学的所見・診断・治療
2)手術
3)プレゼンテーション指導

(3)勉強会・講演会

週に1回、医局での勉強会があります。

(4)研修医向けレクチャー

(5)マイクロサージェリー指導

(6)パワーポイントを用いたプレゼンテーション

4.評価方法

(1)自己評価

1)脳神経外科評価シートに自己評価を行う。
2)プレゼンテーション時に自己評価を行う。

(2)指導医による評価

1)脳神経外科評価シートより研修医評価を行う。
2)研修医レポートにより評価を行う。
3)プレゼンテーションにより評価を行う。

(3)看護師による評価

1)他者評価表を用いて研修医評価を行う。

5.週間スケジュール

月曜日〜水曜日 7:30 画像検討会(研修医) 
8:00 症例検討会(入院患者・手術患者・脳血管撮影患者)
8:30 回診
火曜日 18:30 薬説明会・抄読会・手術後検討会・予演会・研修医プレゼンテーション
木曜日 8:00 画像検討会(研修医)
8:30 回診
金曜日 8:00 SCU合同カンファレンス(看護師・PT・OT・ソーシャルワーカー)
8:30 回診