初期臨床研修について

救急医療科 研修プログラム概要

理念・特徴

救急医療科の研修では救急診療を通じて、一般診療とは異なる急病患者の診察法や重篤な疾患を見落とさないための考え方や診療手順を習得することを目標とする。
救命救急センターには重症患者が多数搬入されており、複数の診療科領域にまたがるような複雑な病態を呈するケースが多く、医学生として学んだ知識を全て統合して診療に当たらなくてはならない。総合診療とは異なり、早く診断し治療に結びつけなくてはならず、精度の高い救命医療を実践するためには多くの経験が必要である。
重症患者を診るためにはチーム医療は欠かせず、看護師・救命士・臨床工学士など院内のあらゆる部門の協力の上で成り立っており、これらを実感できるはずである。
当科は平日日中のER診療を担当しており、軽症・中等症の救急患者についても救急医とマンツーマンで学ぶことができる。
3次救急は救急医療の中の一角を占めるに過ぎず、1次2次医療との地域連携があって成り立っている。また消防機関や警察、福祉行政とも密接に関わっており、臨床医学だけではなく社会医学領域にも触れる機会が多い。当院は、東京都区東北部の地域災害医療拠点中核病院である。災害に対する医療の準備、院内や地域での災害訓練にも参加可能である。

1.一般目標(一般学習目標)

(1) 生命や機能的予後に係わる、緊急を要する病態や疾病、外傷に対する適切な診断・初期治療能力を身につける。

(2) 呼吸・循環を含む全身管理の基礎を学ぶ。

(3) 救急医療システムを理解する。

1) 救急医療体制を説明できる。
2) 東京都のメディカルコントロール体制を把握している。

(4) 災害医療の基本を理解する。

1) トリアージの概念を説明できる。
2) 災害時の救急医療体制を理解し、自己の役割を把握している。

2.個別目標(行動目標)

(1)救急医療

1) ABCアプローチを基本としたバイタルサインの把握ができる。
2) 病歴・身体所見を迅速かつ的確にとれる。
3) 重症度と緊急度が判断できる。
4) 二次救命処置(ALS)が行え、一次救命処置(BLS)を指導できる。
5) 指導医のもとで、頻度の高い救急疾患・外傷の初期治療が行える。
6) 必要な検査(検体、画像、心電図)を選択できる。
7) 緊急性の高い異常検査所見を指摘できる。
8) 身体所見と各種検査結果を評価し、緊急処置および手術の必要性が判断できる。
9) 専門医への適切なコンサルテーションができる。
10) 上記の所見を整理して、適切なプレゼンテーションができ、電子カルテに記載できる。
11) 新型コロナウイルス感染症に対する正しい知識を習得し、感染防御対策ができる。

(2)集中治療

1) 身体所見・集中治療の各種モニターから、血管内ボリュームの把握ができる。
2) 超音波検査による液体貯留の有無、下大静脈径の評価ができる。
3) 病態に変化に応じて緊急にやるべき処置や検査を選択できる。
4) 身体所見と各種検査結果を評価し、問題解決のための診断・治療の計画を立てることができる。
5) 各種ガイドラインに沿った診療ができる。
6) 中心静脈ライン、動脈ラインが確保できる。

(3)災害医療

・ スタートトリアージを実施できる。

3.研修方略(指導体制)

(1) 初療業務

・ 救命救急センター初療室において、指導医・上級医とともに3次救急患者に対する診療を行う。
・ 救急外来において、指導医・上級医とともにER患者に対する診療を行う。

(2) 病棟業務

・ 救急医療科に入院中の患者(救命ICU, 東3B病棟)を実際に受け持ち、指導医・上級医とともに診療にあたる。同時に、呼吸・循環・感染症・血液凝固異常・栄養管理などを含む全身管理や、人工呼吸器・心血管作動薬・体外循環・血液浄化などの使用法についても学ぶ。
・重症患者の移動時にバイタルサインの把握に努める。

(3) コンサルテーション業務

初療時と入院患者診療時に、必要に応じて専門各科へ適切にコンサルテーションする。

4.評価方法

(1)各科評価シート

(2)PowerPoint Presentation

研修期間中に1〜2回、入院患者のケース・プレゼンテーションを行う。優秀な発表については、スタッフの指導のもと学会発表・論文報告を行う。

5.週間スケジュール

~8:00 Pre Round(各自)
8:00~9:30 Morning Conference (申し送り)
9:30〜 救命ICU Team Meeting, Morning Round(救命ICU, 東3B)
12:00~13:00 患者家族への病状説明
14:00~15:00 救命ICU回診
17:00~18:00 Evening Conference (申し送り) →日勤終了
22:00~23:00 救命ICU・病棟回診(希望者, スタッフと共に)
06:00~07:00 救命ICU・病棟回診(希望者, スタッフと共に)
08:00~09:30 Morning Conference (申し送り) →当直終了
帰宅(休み)

#救命救急センター当直(月に4,5回)あり。明けは休みです。
#三次救急の初療・ERは随時参加すること。