初期臨床研修について
病理診断科 研修プログラム概要
理念・特徴
病理診断科の初期研修では病理形態学的立場から疾患・病態を学ぶことによって、疾患をより正確に理解、把握することが可能となり、将来専門とする科目によらず、臨床医としての資質の向上にも役立つであろう。日常業務における病理診断の過程を習得し、病理診断学に必要な知識、技能、態度を身につけることによって、病理検査の依頼が適切に行えるようになり、病理診断結果の理解もより深まる。さらに病理学的な研究の手法を理解することによって、自らの将来の医学研究に役立てることができる。
1.一般目標(一般学習目標)
(1) 医師としての基本的な態度を有し、自己の能力を認識し、常に自己学習につとめる習慣を身につける。
(2) 正しい病理診断を下すために病理学総論を理解し、さらに必要な知識、方法論などを自ら獲得することに日々務める。
(3) 臨床的問題点に的確に答える病理診断を作成するためには、どのような知識、どのような検索方法が必要なのかを理解する。
(4) 自らの研究テーマを持ち、限られた時間での探索・研究の成果を発表し、第三者から評価を受ける。
(5) 剖検、標本の切り出し、標本作製過程に加わることで、疾患の病理及び臨床的な基本的知識をより深め、病理検査の依頼や病理診断結果の理解と評価が正しく行なえる医師となるように努める。
2.個別目標(行動目標)
(1) 病理診断
1) 病理組織標本の作製過程が説明できる。
2) 各染色法の内容を理解し、結果を評価できる。
3) 各疾患による臓器の取り扱い及び検索法を理解し、実施できる。
4) 病変の肉眼的観察に基づいた臓器の切り出しを的確に行う。
5) 感染物を含む医療廃棄物に対して適切な処理ができる。
6) 手術・生検材料を診断し、適切な用語で病理所見を表現した報告書を作成できる。
(2) 剖検
1) 剖検前に臨床経過、臨床的問題点を十分に理解できる。
2) 肉眼所見に基づく暫定診断および問題点を理解できる。
3) 各臓器の顕微鏡所見を説明できる。
4) 臨床上の問題点と剖検所見の関連を説明できる。
5) 感染対策を実行できる。
(3) 研究発表
1) 自ら研究テーマを定めることができる。
2) 当科の検体検索システムを使って必要な検索が行うことができる。
3) 個人情報・医療情報の保護を確実に行える。
4) 研究に必要な検索方法(特殊染色、免疫染色、蛍光抗体法その他)の依頼が的確に行える。
5) 標本の写真撮影(マクロ、ミクロ、蛍光顕微鏡など)が行える。
6) 文献の検索が行える。
7) パワーポイントなどを用いたプレゼンテーションができる。
3.研修方略(指導体制)
(1) コメディカルの下で標本作製に参加し、簡単な染色を実習し、コメディカル・指導医に助言・評価を受ける。
(2) 病理データシステムの利用の仕方についてコメディカル(主に副技師長)の指導のもとで実習する。
(3) 毎日の手術検体の切り出しは指導医の下で行い、方法や肉眼所見のとり方を学ぶ。
(4) 毎日の病理診断報告書作製は、その都度指導医のチェックと評価を受ける。指導医は研修医が自ら問題を解決できるための助言を行う。
(5) 剖検に立ち会い、指導医の下で外表所見、各臓器の肉眼所見や取り扱い方法、感染対策などについて学ぶ。
4.評価方法
(1) 日常の病理業務(手術検体の切り出し、病理診断報告書作製)について指導医がその都度評価する。
(2) 病理診断にあたって問題解決のために努力する態度をその都度評価する。
(3) 病理初期研修終了時の研修医の研究発表について、指導医を中心にコメディカルも参加して対象の択、方法、結果のまとめ方、提示の適切さ、判り易さなどについて評価を行う。
(4) 各科研修評価シートによる評価に加えて研修期間を考慮した行動目標の到達度とコメディカルの評価も含めた総合的な評価を行う。
5.週間スケジュール
9時~10時半 | 10時半~12時 | 午後 | |
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月~金 | 報告書の検閲 | 標本切り出し | 病理報告書作製(診断)・研究・自習 |
土 | 自習 | 報告書検閲・自習 |