初期臨床研修について
泌尿器科 研修プログラム概要
理念・特徴
泌尿器疾患の診断・治療に関する基本的な知識や技術の修得にとどまらず、腎機能温存を目的とする尿路確保の重要性についても理解を深める。さらに、やむなく腎不全に陥った患者に対する血液浄化療法については、内科・腎臓部門と共同してその理解を図る。
また、高齢化社会を迎え、介護における排尿管理の占める比重が増している。このような現状に正しく対応するため、排尿管理の基本についても修得を図る。
泌尿器科では、外科系の一専門部門として、他の外科系診療科に共通した行動原理に基づいて診療を行っている。研修にあたっては、この行動原理を示しながら指導にあたる。
1.一般目標(一般学習目標)
(1) 診療に必要な情報の収集法を修得する。
1)問診、理学所見の取り方など診察方法を修得する。
2)血液検査、尿検査、細菌検査などの意義と判定方法を修得する。
3)腎尿路系内視鏡検査・機能検査・画像検査の意義、方法、判定方法を修得する。
4)文献等の収集方法を修得する。
(2) 診断、治療法選択の手順を理解する。
(3) 基本的な治療法を修得する。
1)保存療法、外科療法の意義と方法を修得する。
2) 切開、止血、縫合などの外科系基本手技を修得する。
3) 呼吸循環管理を含めた周術期管理を修得する。
4) 尿路カテーテル留置・交換などの泌尿器科基本手技を修得する。
(4) 治療成績の評価法を理解する。
(5) 患者への全人的な診療を修得する。
(6) チーム医療を実践する。
(7) 地域医療を理解する。
2.個別目標(行動目標)
(1)臨床判断能力と問題解決能力を修得する。
1)泌尿器科診療に必要な解剖、生理を理解する。
2)主な泌尿器疾患の病因、病態、疫学に関する知識を修得する。
3)主な泌尿器疾患に必要な検査・診断法を修得し、治療法の適応を判断する。
4)主な泌尿器科疾患の治療と予後を理解できる。
5)適切な周術期管理を修得する。
(2)泌尿器科検査・処置・手術に積極的に参加する。
1)以下の泌尿器科検査に参加する:経皮・経直腸的エコー検査、膀胱尿道内視鏡検査、膀胱尿道造影検査、逆行性腎盂造影検査など。
2)以下の泌尿器科処置に参加する:経皮的腎瘻造設、尿管ステント留置・交換、尿道ステント留置・交換など。
3)以下の泌尿器科手術に参加する:ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除、体腔鏡下および開腹腎摘除術、経尿道的手術、前立腺全摘術、ロボットおよび開腹膀胱全摘術、尿路変向術、包皮環状・背面切開術、陰嚢水腫根治術、去勢術など
(3)医の倫理、医療安全に基づいた適切な態度と習慣を修得する。
1) 患者・家族と信頼関係を築く。
2) 患者・家族に明確なインフォームド・コンセントを行う。
3) 個人情報保護に配慮する。
(4)チーム医療を理解し、効率的に実践する。
1)指導医や上級医に適切に相談する。
2)コメディカルスタッフと協調する。
3)医療記録、他科診療依頼状、医療情報提供書・返信、診断書を遅滞なく正確に記載する。
(5)医療情報の収集や発信を積極的に行う。
1)EBMに基づいた学習方略を修得する。
2)カンファレンスや研究会に積極的に出席し、報告や討論に参加する。
3)文献検索等により最新医療情報の収集を行う。
3.研修方略(指導体制)
(1)指導医を含む医療チームに所属する。
1)医療チームは、指導医5名(医員4名を含む)、後期研修医2名によって構成する。
2)下記の週間スケジュールに従い研修を行う。
3)病棟においては、手術ならびに周術期管理を中心に研修を行う。
4)外来においては、検査・処置を中心に研修を行う。
(2)検査、処置、手術へ積極的に参加する。
1)指導医が中心となって解剖学、生理学的知識を指導する。
2)指導医が中心となって切開、止血、縫合など外科系基本手技を指導する。
3)以下の検査、処置、手術については指導医の下で、初期研修医が主体的に行う:経皮・経直腸的エコー検査、膀胱尿道内視鏡検査、膀胱尿道造影検査、尿管ステント留置・交換、尿道ステント留置・交換、包皮環状・背面切開術、陰嚢水腫根治術、去勢術など。
4)以下の検査、処置、手術については、初期研修医が指導医あるいは上級医の介助を行う逆行性腎盂造影検査、経皮的腎瘻造設、体腔鏡下腎摘除術、経尿道的手術、前立腺全摘術、膀胱全摘術、尿路変向術など。
(3)文献検索法、発表方法について指導する。
1)症例検討会などの機会を利用して、発表方法を指導する。
2)発表には文献検索などによって得た最新情報を盛り込むように指導する。