初期臨床研修について
卒後臨床研修プログラムの骨子
1.臨床研修の理念と特徴
東京女子医科大学の理念である「至誠と愛」を持ち、安全かつ標準的な診療を行うことができ、科学的なマインドを持った医師を育成することが臨床研修の理念である。
当院は東京都区東北部の中核病院であり、日常疾患から希少疾患まで、慢性疾患から重症急性疾患まで、幅広い疾患の経験が可能である。
救急医療が充実しており、1・2次救急の初期対応を臨床研修医に行わせており、臨床能力向上に大きく寄与している。協力型病院・協力施設とも指導が熱心であり、充実した地域研修や外来研修を受けられる。勉強会も頻繁に開催され、学会で症例報告や臨床研究発表も積極的に奨励しているので、研究の素養と科学的マインドを高めることができる。
2.プログラム名称と臨床研修病院の指定方法
名称:東京女子医科大学附属足立医療センター
コース | 責任者 |
---|---|
卒後臨床研修プログラム 〔基本コース〕 |
|
開始年度(月日):令和5年4月1日
臨床研修病院群:東京女子医科大学附属足立医療センター(以下「足立医療センター」という)を基幹型臨床研修病院とし、独自に研修医を募集する。
協力型臨床研修病院と臨床研修協力施設は下記の通り。
協力型臨床研修病院
施設名 | 研修内容 | 研修期間 | 実施責任者 |
---|---|---|---|
東京女子医科大学病院 | 精神科 選択研修 |
4週程度 | 西村勝治 |
東京女子医科大学附属 八千代医療センター |
選択研修 | 4週程度 | 髙梨潤一 |
地方独立行政法人 大月市立中央病院 |
地域医療・選択研修 | 4週程度 | 野村 馨 |
社会医療法人友愛会 友愛医療センター |
選択研修 | 4週程度 | 嘉数真教 |
臨床研修協力施設
施設名 | 研修内容 | 研修期間 | 研修実施責任者 |
---|---|---|---|
足立保健所 | 地域医療・選択研修 (保健医療行政) |
4週程度 | 水口千寿 |
医療法人 焔 やまと診療所 | 地域医療 (在宅医療) |
4週程度 | 安井 佑 |
熊野前にしむら内科クリニック | 地域医療 (一般外来) |
数日程度 | 西村英樹 |
社会福祉法人 勝楽堂病院 | 地域医療 (一般外来) |
数日程度 | 清水忠夫 |
武田内科小児科クリニック | 地域医療 (一般外来) |
数日程度 | 武田英紀 |
研修分野ごとの研修施設
研修分野 | 病院または施設の名称 |
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内科 | 東京女子医科大学附属足立医療センター |
外科 | 東京女子医科大学附属足立医療センター |
救急部門 | 東京女子医科大学附属足立医療センター |
産婦人科 | 東京女子医科大学附属足立医療センター |
小児科 | 東京女子医科大学附属足立医療センター |
精神科 | 東京女子医科大学附属足立医療センター、東京女子医科大学病院 |
地域医療 (一般外来) (一般外来) (一般外来) |
地方独立行政法人 大月市立中央病院 足立保健所 医療法人 焔 やまと診療所 熊野前にしむらクリニック 社会福祉法人 勝楽堂病院 武田内科小児科クリニック |
一般外来 (地域医療) (地域医療) (地域医療) |
東京女子医科大学附属足立医療センター 熊野前にしむらクリニック 社会福祉法人 勝楽堂病院 武田内科小児科クリニック |
選択 | 東京女子医科大学附属足立医療センター 東京女子医科大学病院 東京女子医科大学附属八千代医療センター 地方独立行政法人 大月市立中央病院 社会医療法人友愛会 友愛医療センター 足立保健所 |
3.プログラムの管理・運営組織
研修の最終責任者は附属足立医療センター病院長であり、研修修了の認定は病院長が行う。病院長のもとに実効のある卒後臨床研修を実施するため、卒後臨床研修管理委員会(以下「管理委員会」という)を設置する。
1)委員会は卒後臨床研修プログラムの作成・運営(オリエンテーションの企画・実施)、臨床研修病院群の形成、臨床研修協力施設との協議・連絡、委員会のもとに設置される卒後臨床研修センター(以下「研修センター」という)の管理・運営、研修内容の管理と実績の評価、研修医の処遇に関する対策などの業務を行う。
2)研修センターは研修医の受け入れと登録、研修プログラムの調整と管理、研修の評価に関する資料の作成等の業務を行う。
3)卒前教育との整合性の検討、初期臨床研修後の研修体制の立案・運営や研修プログラムの評価など、卒後臨床研修体制全体に関する問題は本学の卒後教育委員会とも協議し、附属足立医療センターの管理委員会が審議する。
4.研修医の募集
予め卒後臨床研修プログラムを公開し、全国に公募する。応募受付開始は6月下旬を目安とし、応募の窓口は附属足立医療センター卒後臨床研修センターとする。
1)研修医の定員について
卒後臨床研修プログラム〔基本〕 定員14名
マッチング後の状況により再募集を行うことがある。
2)研修医の定員について
①研修を希望する者は所定様式を用いて、受験申請を行う。試験日を設定し、指定されたいずれかの試験日に受験する。
②筆記試験・小論文・面接試験を行い、採否を判断し、病院としての採用希望順位を決定する。
③医師臨床研修マッチング協議会が実施するマッチングに参加し、上記②の試験による採用希望順位を登録し、
マッチングの決定により採否を最終決定する。
3)臨床研修修了後の進路について
初期臨床研修の必須化を定着させるために、受験者には研修医としての合否に関わらず、初期臨床研修修了後の進路についての情報を提供する。5.研修プログラムの実際とローテーションの原則
【研修プログラム】
研修について 研修プログラム〔基本コース〕〔別刷「ローテーション表」参照〕
基本的には研修医の選択権を尊重したプログラムでローテーション研修を実施する。104週の臨床研修期間中、開始1週までの基礎研修を含む68週以上を必修研修とし、残りの28週以上を選択研修期間に充てる。オリエンテーションや基本手技等を習得するための研修セミナーを1週程度実施する。内科12週以上、救急部門〔救急医療科(三次救急)〕6週以上、麻酔科6週以上、外科系診療科8週以上と小児科4週以上を必修研修とし、研修1年目に修了することを原則とする。外科系8週以上のうち、4週以上を希望する外科診療科で研修することもできる。
地域医療4週以上、救急部門(ER)4週以上、産婦人科4週以上、精神科4週以上、一般外来4週以上を必修研修とし、研修2年目に修了することを原則とする。一般外来研修期間中に地域研修先の協力施設にて数日、外来研修を行うことができる。
研修医が選択し、研修の実効を挙げるため研修ローテーションの順番は可能な範囲で研修センターが調整を行う。
協力型臨床研修病院での研修希望者(2年次選択研修)は原則としていずれかの病院で4週程度とする。臨床研修協力施設(地域保健等)での研修は原則として4週程度とする。
研修期間全体を通じ、各科症例検討会、病院CPC、研修セミナーへ一定以上出席することを必須とする。
6.研修指導体制
研修医は研修期間中、病院長直轄の研修センターに所属し、希望する専門診療科の有無に関わらず各診療科に属さない。
1)指導体制:全体構想に沿って初期臨床研修を円滑に実施するため、病院長と協議の上、管理委員会を置く。管理委員会は必要な研修の事務的処理を効率的に行うため、研修センターを置く。それぞれの構成・業務については規程に従う。実務上必要があれば小委員会を設置する。
2)指導医:実効ある卒後臨床研修を実施するためには積極的に取り組む指導医の存在が不可欠である。病院としてその養成に努力し、意欲に報いる処遇を明確にする必要がある。
- ①研修指導医は診療部長が推薦する7年以上の臨床経験を有し、プライマリ・ケアの指導が可能かつ情熱を持つ者を充てる。
- ②臨床研修事項に関しては診療部長の了承のもとに研修指導医が優先的に決定するが、常に診療部長に報告しなければならない。診療上の最終責任は診療部長が負う。
- ③研修は指導医・上級医・研修医が診療チームを構成して行う。
- ④附属足立医療センターでの指導医には、経歴を証明する認定証の発行を認める方向で検討する。
- ⑤研修指導医の任命権者は病院長とし、3年ごとに見直しを行い、再任を妨げない。協力型臨床研修病院においてはその病院長に判断を委ねる。
- ⑥研修医は研修センターに対して指定された評価表により、指導医の評価を行うことが出来るが、それにより研修医の評価が影響されることはない。指導医もそれにより任免の可否を問われることはないが、指導医として不適切と考えられる点については管理委員会が具体的に改善点を指導する。
3)医療安全:患者に安全な医療を提供することは全ての医療機関にとって不可欠な要件である。附属足立医療センターでは医療安全管理委員会が充分に機能しうる体制になっており、些細なインシデント・アクシデントレポートも重要な報告として認識し協力する。
7.研修医の処遇:
附属足立医療センターの医員(研修医)として採用する。研修中はその身分を明らかにする措置を講じ、病院は研修環境の整備に努力する。
1)勤務(時間)体制:常勤として原則1週39時間勤務とする。
休暇:学校法人東京女子医科大学の決定に従う。但し、医師という職業の特殊性から柔軟性が必要であり、詳細は各診療科が指示する診療業務に従う。
研修医の期間は医師法第16条の3によりアルバイトを禁止する。
2)給与:他大学及び研修病院の状況・当院の立地条件を考慮し、給与水準は次の程度を考える。他施設の基準を下回らないのを原則とするが、最終的には学校法人東京女子医科大学の決定する基準に従う(経済状況等により変動することがある)。
令和4年実績:
1年次…¥230,000(24時間相当分の時間外手当含む)
2年次…¥240,000(24時間相当分の時間外手当含む)
住宅手当…本学の規定により支給
時間外手当…本学の規定により支給
日当直手当…別途支給
通勤手当…本学の規定により支給(月額上限55,000円)する。
3)専用宿舎:有 本人負担額40,000円(水道光熱費込)
4)保険関係:
①医療保険は東京女子医科大学健康保険組合に加入する。
②年金保険は厚生年金に加入する。
③労災保険へ加入する。
④雇用保険へ加入する。
⑤医師賠償責任保険:施設限定医師賠償責任保険の適用(任意保険加入を推奨)
5)その他:白衣他被服無償貸与(クリーニング病院負担)
8.臨床研修の評価
各研修医が必要不可欠な一定の研修レベルに到達していることを社会から理解され、保証されるためには、第三者機関による客観的評価も必要である。
1)各診療科・施設での研修終了時、研修医および研修指導医が研修成績をオンライン卒後臨床研修評価システム(EPOC2)に入力する。以下の各項目を中心に臨床研修の成果を評価する。
①勤務状況の記録。当直・宿直の記録。
②各科症例検討会、病院CPC、研修セミナーへの出席状況。
③退院時サマリー(手術記録を含む)の記載と提出状況。
④医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)の到達度
⑤資質・能力の到達度
⑥基本的診療業務の到達度
⑦経験すべき研修各科の症候の経験度(病歴要約)
⑧経験すべき研修各科の疾病・病態の経験度(病歴要約)
⑨経験すべき研修各科の手技の習熟度
2)研修期間中の一部を附属足立医療センター管轄外の施設で研修を行った場合、研修センターおよび管理委員会が審議して、研修として認めることが出来る。不適切と判断された場合には選択研修の期間をそれに充てる。
3)研修修了時に管理委員会がオンライン卒後臨床評価システム(EPOC2)、研修医・指導医等の評価をもとに、総合的な評価を行い、病院長に上申する。病院長は研修を修了したと認定された研修医に対して、研修修了式において病院長名で研修修了認定証を授与する。
9.臨床研修プログラムの評価
オンライン卒後臨床研修評価システム(EPOC2)による施設およびプログラムの評価を参考に、実務は研修センター委員会が、全体構想については管理委員会が改善の努力を行う。